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応力

「ジャパンものづくりカルタ」第8回のテーマは「応力」についてのお話でした。
人間にとってストレスは与えられたくないものですが、ものづくりではストレス(力)をかけたときに発生する「応力」を利用して強度を増す技術が存在します。

応力とは、物体に外力が作用する時内部に発生する力のことをいいます。例えば、金属の棒を上下に引っ張っても簡単には延びません。この時金属棒の内部には応力が発生していて、引っ張る力に抵抗しています。
物体に抵抗力があるからこそ、外部の力と釣り合って静止することが出来ます。
応力が物体の抵抗力を越えて作用すると、その物体は千切れたり押しつぶされたりして破壊されてしまいます。

  • ショットピーニング技術

  • ショットピーニング

    応力の作用を利用した「ショットピーニング」という技術があります。
    ショットピーニングとは、細かい金属の玉を加工したい部品に高速で打ちあて、部品内部に力を宿らせる技術です。ショットピーニングを施した加工部品は残留応力が付与され、部品の強度や耐久性が向上します。
    残留応力とは、物体に外力を加えその外力を除去した後も物体内に抵抗力が残る現象です。

ショットピーニングを利用したものづくり

こうした応力を利用した技術は、安全性や耐久性が要求される部品の加工に活用されています。
航空機製造では、上空でかかる力に耐える必要があるため、ジェットエンジンや翼、ランディングギアなどにショットピーニングを施しています。

  • 航空機のジェットエンジン

  • サンドブラストのグラス

また身近なものとしては、ガラスのコップのすりガラス模様にもショットピーニングと同様の技術が使われています。
テーマパークなどでキャラクターの模様が浮き出ているコップを見かけたり、旅行先などですりガラスの体験工房などをした経験があるかもしれません。このようなすりガラス加工は「サンドブラスト」という技術を利用していて、ガラスに砂などの研磨材を吹き付け、表面を削り模様を描きだします。
ショットピーニングが残留応力を利用した耐久性向上の為に鋼球を打ちあてるのに対し、サンドブラストは外観加工の為に砂を吹き付けて表面を削ります。
原理が同一の技術ですが、目的と用途がそれぞれ異なっています。

ぶ

今回は一般的にはあまり耳にしたことの無い「応力」についてでした。実際の用途を通してみると、その存在を分かりやすく感じて頂けたのではないでしょうか。
体験工房や空港などに足を運ぶ際は、モノや部品がつくられる時にどのような力が作用しているかを考えるのも楽しいかもしれません。